「世紀の恥」核シェアリング論の破たん

ロシアのウクライナ侵攻に伴って多くの驚くべきことが発生したが、その最たるものの一つが日本が核武装することを勧める論調だったといる。しかもそれを最初に発信したのが元首相であったというから驚く。安倍晋三元首相はテレビ番組で提案し、それに基づいて配下の新聞記者や自称ジャーナリストらが踊った。日本人でありながら、日本の歴史を知らない。日本人でありながら、原爆のリアルを知らない。そんな「戦後世代」が幅をきかせるようになった象徴といえようか。多くの被爆犠牲を生んだこの国の人間が、核兵器で自分たちを守ろうなどと呼びかける。こんな倒錯した時代が、まさか自分が生きている時代に来ようとはまったく思わなかった。本日付の産経新聞は米識者の声を紹介し、日本が核保有してところで北朝鮮に対しては何らの効果もなく、唯一中国には一定の抑止効果が生まれるかもしれないが、現在のアメリカの「核の傘」のもとで十分に抑止効果は発揮できている旨が記載された。要するに火事場の混乱に基づいて、自分たちの権益や政治的主張を拡大させようとするさもしい姿にしか映らない。安倍元首相は現職の首相時代には自分の政治信条を抑制的に振る舞っていたが、野に放たれたいまは、全開で極右色(靖國色)を鮮明にする。過去にこの国が「靖國思想」という誤った思想のもとに壊滅的不幸に陥った経緯が彼らは理解できない。そこには反省できない日本人の本質が横たわる。

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