過ちを認めるわけにはいかない菅首相の立場

昨日発売された文藝春秋12月号に、佐藤優氏が日本学術会議問題に関して「権力論――日本学術会議問題の本質」と題して詳しい原稿を寄せている。元情報官僚としての視点が加味されていて興味深い。それによると、今回首相官邸側は深く考えて6人の任命を拒否したというよりも、「もらい事故」という感覚に近いのではないかと記している。平たく言えば、下から上がってきた案件を首相が深く吟味しないまま決裁してしまい、後になって慌てているという構図に近いというものだ。ただしそれが学術会議の内部から日本共産党にリークされて起こった「政争」であるため、官邸側は降りる(=任命拒否を撤回する)ことができなくなっている状況を説明している。また問題は学術会議側にもあることをここ数年の経緯の上から説明し、政府側、学術会議側、あるいは野党側にも行きすぎによって招く危険性を警鐘して終わっている。

この問題でも与党政治家や右派言論文化人に、ファクトを確認しないで発信するお粗末な言説が浮き彫りになっているが、政治が劣化していることだけは間違いない。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。