加害側も一生後悔したと証言する99歳男性

この時期になると、新聞紙上に多くの戦争体験が掲載される。その中で印象に残ったひとつは昨日付の東京新聞夕刊に掲載された99歳男性の戦争体験だった。

男性は、日中戦争で軍命に従い、捕虜を拷問し、銃殺した。その後、多くの戦場をへて最後は沖縄戦に投入された。こんどは逆に捕らえられ、自分が捕虜の立場となった。だがアメリカ軍はこの男性を拷問したり、銃殺したりすることなく、3度の食事を与え、たばこやベッドすらも認めた。男性は「このとき初めて、自分が中国人捕虜にした行為を体が震えるほど後悔した」と語っている。またこうした中国体験をした日本軍兵士が多かったからこそ、沖縄において米軍も自分たちと同じ行動をとるだろうと早合点し、住民に「拷問される前に自決しろ」と住民自決を強要したと考えている心情を吐露している。

南京戦線を含め、旧日本軍兵士による中国人現地女性に対するレイプは日常茶飯だった。その結果、沖縄でも「女性は米軍にレイプされる」と事前に情報告知がなされた。だがこちらはまんざら嘘ではなかった。

話を戻す。99歳男性は、加害側であれ、被害側であれ、「戦争は悪」「戦争は絶対にしてはいけない」という普遍的な教訓を語っている。隣国を敵視して断交を推奨する言論人など、もってのほかだが、「鬼畜米英」を煽った結果、国民世論は話し合う余地を認めず、戦争を容認した過去がある。現代も同じ行程をたどれば、同じ結末となる。命を失うのは日本国民を含む日本社会の構成員だ。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。