波田地の虚実(下)本質は逆恨みの感情

 今年4月に行われた波田地尋問の続きに言及しよう。この日2時間近くかけて行われた本人尋問の中で、ほかにも注目すべきやりとりがあった。一つは2013年秋に講談社発行の写真週刊誌『フライデー』に掲載された「創価学会『池田大作後継候補』を襲った怪文書騒動」と題する2ページの記事について、波田地が被告側代理人から反対尋問を受けた際のやりとりである。
 この記事は、波田地本人のもとを警視庁四谷署の刑事が訪問し、任意同行を求めた際の記述から始まり、同人が教団の本部職員としてどのような仕事をし、どのような経緯がこれまであったかなど、波田地本人を中心とする記事にほかならない。署名入りの記事であり、取材・執筆者は「高橋篤史(ジャーナリスト)」となっている。
 もともと波田地が教団を除名される原因となった一つに、マスコミへの情報漏洩が挙げられていた。だが、そうした疑いを払拭する意図と思われるが、除名無効を求めたこの裁判で同人は、この記事の取材を一切受けておらず、取材執筆者は本人に確認もしないで勝手に記事を書いた旨、法廷内で堂々と証言したのである。マスコミで仕事をする者の一般常識として、こうした記事を書くのに、当事者本人に取材しないで書くということは通常ありえない。だが、波田地はあくまでそのように言い張った。後日、私のほうから高橋氏に確認してみたところでは、「取材源に関することはお答えできない」との回答だった。
 この日の尋問の終わりころで、波田地は谷川佳樹副会長について、谷川氏が学生部長のころから「波田地の地方講演を中止にしろ」などのさまざま妨害を受けてきたなどと供述。同人が谷川副会長に対し、個人的に敵意を抱いている様子がうかがえた。波田地は代理人から質問もされていないのに、一方的に自身の主張をまくしたてる場面も見られ、裁判官から「待ってください」とたしなめられる姿も。
 結論として、波田地問題の本質は、理屈というより、表面上はそのように擬制されているとはいえ、その根底に私的な「感情」があることは明らかである。上記『フライデー』記事においても、「噂話に明確な証拠はない」と記述されているにもかかわらず、同人は裏付けのない噂話を教団幹部を攻撃する材料に使ってきた(現在も同じことが「宿坊」掲示板で行われている)。
 「法」に基づくのではなく、「特定の人」を中心とした分派グループ。教団内において、いつしか分派活動が局地的に発生し、教団内部を“攪乱”する主体と化してきた。何も知らない会員からすると、表面的な主張からはその本質は容易にうかがえない面もあるかもしれないが、彼らの行動が私的感情に根差すものであり、教団の発展を純粋に求める行動ではないことを指摘しておかなければならない。

 ※このサイトの運営および一切の記述は、柳原個人の判断によります。(Y)

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