すべてスターリンのせいにする不破哲三の思考停止

 私がジャーナリストとして独立したのは1997年。その頃ある媒体の仕事で日本共産党に関する取材に関わることになり、同党機関紙の『赤旗』(日刊紙)を購読するようになった。以来、一度も途切れた記憶はないので、振り返れば、小生は20年にわたる“赤旗購読者”ということになる。そんな私が今朝の同紙をみて鼻持ちならないと感じたのは、不破哲三氏が自著『スターリン秘史』について語っている座談会での発言内容である。そこには「スターリン主導だった武装闘争押しつけ」の小見出しとともに、次のような記述がなされていた。
 「あの時期に資本主義国の共産党でスターリンから武装闘争を押しつけられたのは日本共産党だけです」
 同党は戦後まもなくの一時期、火炎瓶を投げ、警察署を焼き打ちにするなど、現在でいうところの“暴力テロ集団”と化していた時期がある。党内では「50年問題」などと称されているようだが、当時を知る高齢者は、いまも同党に怖いイメージを持つ人が多いようだ。問題は、同党がそうした≪汚点≫ともいうべき時代を、消し去りたい、なんとか言い訳をしたいと、指導者自らが画策している事実だろう。
 日本共産党の実質的な指導者ともいえる不破氏が語った上記の言葉は、意訳すれば、「日本共産党は暴君スターリンの“ロボット”にすぎない存在でした」と言っているだけである。要するに、「押しつけられた」の7文字は、自分自身で判断する能力も、意思決定する力もなく、他者の「手足」となって“盲従”するだけの存在であったことを自認する言葉にほかならない。
 結局は、自分たちの過去の恥ずべき歴史を正面からとらえて反省するのではなく、スターリンという「他者」に責任転嫁することで、自身を免罪するという行為にほかならない。こういう政党の姿を見せつけられると、「本当に恥ずべき姿」だと私などは感じるのである。
 私は日本共産党の先の大戦の戦争責任を追及する姿勢には一定の評価を持つ者だ。同党は、日本の右派勢力が旧日本軍の戦争責任を正面からとらえることができず、事実的根拠の伴わないコミンテルン陰謀説に頼ったりする責任転嫁の姿勢を鋭く批判してきた。しかし実際のところは、日本共産党もそうした者たちと≪本質≫は似たり寄ったりであることを不破氏自身が公に示したことになる。

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