7月の参院選に引き続き、現在行われている自民党総裁選でも外国人政策がテーマになっているためか本日付の各紙紙面にはその関連の記事が多い。朝日・毎日が社説で扱ったほか、日経がオピニオン欄で3人の識者見解を紹介する。その一人、クルド人問題を抱える埼玉県大野知事の「悪い部分だけを切り取ったり、良い部分だけを強調したりする議論は好ましくない」との発言はその通りだ。クルド人問題は明らかに「悪い部分だけを」意図的に強調したことによって増幅された人災の側面が強い。この日経記事をまとめた担当記者は総括コメントの部分で、外国人受け入れ拡大は「安倍政権下の2018年」だったことを指摘した上で、「本来は国民に丁寧に説明し、進めるべきだった」と主張。国会審議にも時間をかけない拙速なやり方が「今になって不安が噴出し」ている状況を作った旨解説する。当時は菅官房長官の主導でこれらの政策が遂行されたと記憶するが、公明党などにも適切な意見を述べる能力を欠いたことも一因といえる。本日付産経1面では、経営管理ビザの新設が日本社会に問題を及ぼしている旨をレポートするが、このビザが始まったのも2015年。安倍政権下のことだった。つまり、現在の外国人問題の原因の多くが安倍政権下でつくられたことを浮き彫りにする。過去の政権の不十分な政策決定は次の時代になって表面化する。自民党新総裁のもとで推進されるであろう外国人政策は、拙速を求めず、丁寧な実態把握と、国民有権者に対する丁寧な説明のもとで行ってほしいと念願したい。