石破内閣の9カ月を振り返って、最初の数カ月は野党とのさまざまな交渉を通じて困難な少数与党としての予算編成を成立させたことは一定評価されている。一方でその後に“決められない政治”に陥ったことが参院選の与党苦境の要因となっている。一つは政治とカネの問題だ。企業団体献金についてなんら問題解決に取り組まず、結論を“先延ばし”にしたことが大きなネックとなっている。石破首相がここに自らメスを入れることができていれば、だいぶイメージは変わったはずだ。さらに選択的夫婦別姓制度導入の足を引っ張ったことも大きい。これは自民党サイドの問題である。有権者の目から見て、さすが刷新感のある内閣だとは真逆に映った結果が現状につながる。いずれにせよ有権者は“決められる政治”を望んでいることは明らかだ。自民党中心の内閣でそれが無理となれば、当然ながら別の枠組みが必要になる。安倍晋三元首相は果断ができたリーダーだったが、石破首相は熟慮型というか、優柔不断な側面があり、それが裏目に出ている。本日付産経で、「(※7月)20日は、日本政治の激動の始まりとなろう」とコラムニストが書いているが、石破内閣がつづこうと政権交代が起きようとどちらにせよ、“決められない政治”が続く限り、有権者の漂流はつづく。