先の総選挙でライバルのれいわ新選組の議席数を下回った日本共産党が泡沫政党に向けまっしぐらに進む感がある。最近では同党のニュースバリューは明らかに落ちており、政界や社会への影響力が落ちている証左と思える。この政党はどこで道を誤ったのだろうか。私は1990年代後半に、自己変革を行う一つのチャンスがあったと見る。同党が躍進した時期にあたるが、日本社会党の党名消失とともに漁夫の利を得て共産党が議席を増やすという一時的な現象が生まれた。このとき同党は躍進の余裕を基盤に、将来に向け大きな変革を行なえる土壌があったと考える。ただしそれには賢明なリーダーが必要だったが、不破哲三委員長にそれを求めるのは無理があった。さらに2度目の変革の時期は、この数年のことだ。不破氏の力が落ち、事実上、志位優位体制となるなかで、この党は自己変革の機会をここでも失う。企業社会でも同じことがいえるだろうが、変革に必要なのは清新な感覚をもったリーダーであり、同党における政権交代機能が必要だったと思われる。そのため党首を公選で決めるという提案は十分な土壌的裏付けがあったと今では思える。同党は自民党には政権交代を求めながら、自分の足元ではその制度的機会すら与えない。同党が言っていることと行動との乖離はいたるところで見られる。このままズルズルと進めば5年後にはかつての社民党のような姿に近づく可能性がある。時代感覚を取り込めないトップリーダーの元では、組織は衰退を免れない。