本日付日経がフィナンシャルタイムズ記事でインドのシン前首相の功績を取り上げていた。現在のインド発展の基盤をつくった人物として紹介され、現在のインドの経済的な発展があるのは財務相時代の彼の改革のおかげとする内容だ。さらに「公僕の範を示した」として、汚職にまみれたインド政治の中で、「潔癖であり続けた」姿勢を評価する。政治は多くの人びとの生命と安全を請け負う性質をもつ関係上、政治家の長期視野に基づく確かな視点と実行力が問われる。さらにその能力があったとしても、能力を生かす機会やポストが巡ってこなければ力を発揮できない。その意味では首相になりたい政治家は多くいても、その地位を得ることができるのは「天命」という言葉はうなづける。なにより、その行動を公益のために注ぎ抜いた政治家の功績は、その人物が生きた時代の次になって現れるという意味だろう。その意味で、目先の権力維持に終始した短期視野の政治は、恒久的な繁栄をもたらさない。この根本原理はあらゆる企業、団体、組織に当てはまると思われ、現在繁栄を謳歌している企業、団体、組織があるとすれば、それは前世代のリーダーによってつくった「資産」の側面が大きいと考えるべきだ。政治家の功績もそのようなものだと感じる。同時代においてはけっして日の目は当たらなくとも、後世において評価されるということは往々にある。その逆もまた真なりだ。