昨日の言論テレビ(櫻井よしこ主宰の無料ネット番組)で立花孝志という人物が出演していた。自殺した元県民局長の残した公用パソコン内に自身が不同意性交などした「日記」が残されていたなどの伝聞情報を喜々として語り、番組自体、「斉藤知事は善・マスコミは悪」の図式で終始したように見えた。非常に危険なことである。世の中や実際の物事はネットで受け入れられやすい「2分法の図式」で成り立っているわけでは決してないからだ。まだ判明していない真相もあるが、そもそも斎藤知事が自らに不利となる公益通報に対して「正しい対応」を取らなかった事実については動かない。自己本位の誤った対応を取ったことは明らかだ。問題は告発を行った県民局長の自殺の原因だが、これは未確定というほかない。立花らが選挙で訴えたような内容であったかどうか、事実関係ははっきりしていない。また理由が一つであったかどうかも実態は定かでない。問題は、自らに不利となる公益通報への公職者としての態度が、今回のSNSで加熱された選挙では「免責」される方向に一方的に働いた効果のほうだ。民主主義を体現する「選挙」の場において、確定していない情報、意図的に歪められた情報などが席巻し、選挙の結果を著しく歪めた可能性があることである。SNS時代、選挙に「虚偽」を含む情報を意図的に持ち込み、有権者を自在に誘導する時代が来たのかもしれない。