昭和の大戦において軍の意向に従って作家をはじめとする多くの文化人が戦争協力した負の歴史はよく知られる。国民が一つの方向に熱狂した大失敗をへて、昭和史研究の歴史家は「この国に熱狂をつくってはならない」との遺言を残した。日本人は個々が確立されておらず、一つの方向に付和雷同的に流されやすい民族的体質を踏まえた教訓としてだ。2010年代の安倍時代も一つの熱狂の時代であったと捉えられる。この時代に乗じて踊った文化人も数多くいた。最たる例が百田尚樹・有本香・門田隆将の3人組だ。いずれも右派論壇誌や右派言論人を通じて安倍元首相と直接の交流をもち、その延長線として自分を「特別の存在」と勘違い(=錯覚)した。先の2人組は自ら「日本保守党」という名の政治団体を立ち上げ、今も活動を続ける。3人目の門田は現在、自民党総裁選で自ら政治活動にのめり込み、高市早苗を熱烈支援する。政治活動を利用した本人の「シノギ」であり、一挙両得なのだろう。これらの3人は安倍時代に咲いた一つのあだ花であり、端的には、安倍政治の元にわいたボウフラともいえる。デマ発信が平気なことで知られる3人組は、いずれ社会的に「駆除」されるべき存在だ。その時期がいつになるかが、日本の未来社会を占う一つのバロメーターとなる。