昨日はルソーの輪読会。18世紀に生きたこの人物が書いた自叙伝の感想を語り合った。「社会契約論」や「エミール」など現代に残る有名な著作を書いたほか、他にも多くの執筆作品以外にも音楽に造詣があり、植物採集も行ったなど多彩な才能をもつ人物ながら、生い立ちは恵まれておらず、そのためフランス社交界では浮いた存在で、冒頭の代表2作を同時期に出版した後、次々と所を追われる迫害の人生となった。おそらく本人は、自分の死後、自身の残した作品がフランス革命を引き起こし、いまも教育哲学の古典とされるような未来を、予期しないまま亡くなったと思われる。その意味では、本質的な何かを書き残すという営為は、未来の読者に対して大きな可能性をはらむ。つまり同時代に売れることだけを目的にした(浅薄な)作品は、実際は後世には残りにくく、むしろ同時代において迫害を呼び起こすような作品こそ、本物の作品である可能性が高いという歴史の法則のようなものを学びました。