6月5日に新しい月刊誌『地平』が発刊された。岩波書店発行『世界』の編集長を務めた人物が立ち上げた新会社の新雑誌ということで私も数日後に手にする機会があった。これまで右派論壇誌が活発で、しかも『WiLL』が分裂して類似雑誌が2冊になったことで、右派論壇(正確には極右論壇)が席巻している感が続いてきたが、常々左派で逆バリの雑誌を出す人はいないかと妄想してきたところではある。率直な感想を記しておくと、『世界』が2種類になったという感じだ。あたかも『WiLL』と『Hanada』の併存状況の“逆バージョン”に見える。大衆が手にとる雑誌(そういうコンセプトではないかもしれないが)として考えれば庶民性が感じられず、お高く停まっているというイメージが付きまとう。ある意味で『WiLL』と『Hanada』の逆バリでよいから、洗練されたイメージより、わかりやすさを強調したほうがよいというのが私の意見だ。そうでなければ『週刊金曜日』の繰り返しにすぎなくなる。私がこの新雑誌に期待するのは、この国に集積され続けて来た歴史改竄主義に真実のアンチテーゼをぶつけて駆逐することだ。その作業はすでに幾つかの社で秘密裡に準備されているものと期待する。