安倍政治が遺したもの

安倍首相が亡くなってあと3カ月で三回忌を迎える。日本憲政史上最長任期記録をつくった元首相の死去からまだ2年もたっていないが、最大派閥を誇った「安倍派」は消滅、極右論壇誌も退潮傾向が著しい。結局、安倍政権は何を残したのかというテーマは今後も同時代的に続いていくだろう。明確にいえることは、(1)戦争準備体制を具体的に整えたこと(2)旧日本軍慰安婦問題を矮小化したこと(3)社会規範を壊したこと――だろう。慰安婦問題を歴史修正主義者として「1丁目1番地」として掲げたことは有名だが、この活動は首相になるずっと以前から行われていた。また戦争準備は安保法制だけでなく、秘密保護法や行政システムの新設など各種行われた。すでに日本の自衛隊は米軍と《一体化》の様相が強く、今回の首相訪米でもその方向が強く打ち出されるはずだ。社会規範を壊した具体例は、財務省公文書改ざんや、あらゆる点での情報隠しなど、枚挙にいとまがない。国民の現実生活に関わるのはやはり(1)と(3)だ。沖縄の各地ではすでに自衛隊の展開をはじめとする戦争準備が着々と進んでいる。(1)について岸田政権はそのまま政策を受け継ぎ、さらに発展させる結果を生んだ。ただし防衛予算43兆円の不足分の増税も“先送り”にされたままだ。安倍政治は大きく崩壊したが、それでも政策的に残ったものはたくさんある。政治はすべて結果オーライの世界だが、このまま中国と武力衝突する事態となれば、安倍政治の政策のありようが問われる。

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