第1次政権だけでなく、安倍元首相が率いた8年近い第2次政権でも社会は大きく劣化した。ヘイトスピーチの蔓延、公正規範の崩壊。それらを率先したのが安倍元首相だった。ヘイトスピーチの蔓延は安倍氏の歴史認識に大きく関わっている。かつての大日本帝国を擁護する心情が強いあまり、従軍慰安婦問題で旧日本軍の責任を矮小化しようとさまざまな画策をつづけた。さらに自分の政権が長続きすればいいとばかりに、国会で多くの意図的な虚偽答弁を弄し、不利な文書を情報公開せず、不公正な社会風潮を増長させた。一方で「戦争できる国家」に向けての政策は着実に実行した。「平和安全法制」という美名の戦争対策は、すでに実行される可能性を秘めている。一方で“本当の安全保障”ともいわれる我が国内政問題の最大課題の一つである少子化対策では何ら成果をあげることはできなかった。少子化問題で隣国の韓国がさらにひどい状況にあるからと手をこまねいていることはとうていできない。むしろ日韓共同でこの問題に対処するほうが一挙両得にも見える。ともあれ、安倍政治はこの国に多くの「負の遺産」を残した。これからの社会変革は容易ではないが、必ずやり遂げなければならない。