学徒出陣の「東京壮行会」から80年の日という。1943年10月21日、明治神宮外苑競技場で雨の中、2万5000人の文科系大学生が隊列行進した。私の文章の師は当時、東京帝国大学の学生で21歳。このときの動員で召集され、幸い外地に運ばれなかったために戦死を免れたが、日本国内にいても生死をさまよう空襲に遭っている。東条英機(当時首相)が訓示したこのときの「壮行会」にボイコットの意味で参加しなかったと語っていた。いかにもへその曲がった恩師らしいエピソードだと感じたものだ。戦後、東大から九州大に移籍した恩師はジャーナリズムの世界に飛び込んだ。現在101歳。