「間違った価値観」政党に許される限度

作家の佐藤優氏が政治理論誌『公明』(8月号)で「日本共産党への警戒心を緩めるな」という刺激的なタイトルの文章を寄せているのを広告で見て手に取った。この文章の冒頭の部分で、「共産党は、私に言わせると、間違った価値観に基づく政党であり、日本を誤った方向に、また国民と国家を不幸な方向に向かわせる」との指摘は、本質的に同意できる。私も同じ認識をもつので、同党が現在の共産主義綱領をもったまま、与党入りすることは全面的に反対する立場だ。仮に同党が、共産主義の旗をきっぱりと捨てて、別の政党に生まれ変わるのであれば、そうした考えを改める可能性がある。

一方で、誤解をおそれずにいえば、同党が政権監視型の政党として、機能している点については肯定的に評価する立場だ。政治の腐敗を浄化することに貢献していることは率直に評価する。ただしそれは野党として与党をチェックする行動のレベルにとどまる。仮に同党が政権の一部を担う立場となるなら、極めて危険な事態に映ることは言うまでもない。共産主義政党が権力を握って国民を不幸にした歴史はごまんとある一方で、逆の例はほとんど耳にしたことがない。「間違った価値観」という指摘は、そういう意味では歴史の検証をへた言葉でもある。

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