羊を駆り立てる者たち

本日付一般紙に昨日、日中正常化50周年記念レセプションが東京都内のホテルで開催され、河野洋平元衆院議長が次のように挨拶したことが報じられている。「いろんなことを言うやつがいるけれども、我々は両国の友好を促進し、日中ともども世界の平和のために、おおいに頑張りたいと考えておりますことを、改めて誓い合いながら杯を上げましょう」。おそらく河野元議長が述べた「やつ」の中には、友好を「侵略」などと定義している輩も含まれる。物事をクロかシロかで判断できないタイプに限って、このような思考が目立つ時代だ。

歴史を振り返れば、近現代史において先に「侵略」したのは日本だ。多くの婦女子を強姦し、食糧を奪い、火をつけて歩いたのが昭和天皇の軍隊であった。そうした歴史を知るがゆえに、中国から逆に同じことをされかねないと恐怖におののいているのがそうした輩たちだ。そこにあるのは「過度」な恐怖心にほかならない。心情が過度であるために、そこからは当然のこととして現実とのギャップが生じる。狼少年ならぬ、狼ジジイが跋扈する所以である。だがそうした輩にとっては、そのほうが自らの「商売」にとってプラスになる。ファクトではなく、感情に訴えることで人びとを揺り動かし、金儲けにつなげられるからだ。その意味で、彼らにとっての対象は、人間というよりも、むしろ深く考えない愚かな羊の群れに近いと思われる。

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