自民党外交部会長の妄想

10年ほど前、民主党政権の時代だったと思うが、外国人参政権が現実化する一歩手前の状況になったことがあった。そのとき反対運動の先頭にたったのが神道勢力の日本会議だった。日本会議は外国人に地方参政権を認めると、島などが外国人に乗っ取られると主張した。その具体的な事例として、台湾に近く、日本の最西端の島である与那国島が中国人に乗っ取られるとのキャンペーンを行った。そこで私が現地に出向いて実際に取材をしてみると、田舎の島だけあってか、町役場にいくと、永住外国人の数と内容を具体的に教えてくれた。当時1800人くらいが暮らす島で、永住外国人はたったの5人しかいなかった。さらに取材してみると、狭い島には外からよそ者がきて住めるような場所はほとんどなく、大挙して外国人が島に住み着き、大量の選挙権を得るという「想定」事態が荒唐無稽なものにすぎなかった。さらにそこまでして選挙権を得て、何ができるのか、どういうメリットがあるのかという本質的な議論も素通りされたままだった。「日本会議」特有の思考方法は、外国人は常に日本人に「害」を加える「害外人」であるとの潜在的思い込みがまずあり、日本が彼らに乗っ取られるとの妄想が根強い。貧しき「島国根性」ゆえの発想法とも思える。最近、自民党の外交部会長が同じようなツイートを行ったことで話題になっていた。東京・武蔵野市の条例案で、武蔵野市に人口の半分の8万人の中国人が転居するなどの「妄想」を改めてツイートしたのは、佐藤正久氏だ(11月20日付)。このような現実に即さない思考をする人物が日本の外交に影響を及ぼすのは非常に不安である。国家の大計を誤る大元に思える。

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