中国は世界の指導国たりえるか

ことしは新型コロナウイルスが中国から発生したと見られたこともあり、中国脅威論が日本でも加速した感がある。いずれ国力としてアメリカを抜き世界最強国となることが予想されているが、中国が世界を引っ張れるリーダーとなれるかといえば、現状では大きな疑問符がつく。共産主義国がもつ独裁的、民主主義否定体質は、世界では受け入れられないからだ。さらに一国による「強権政治」も世界では通用しない。いま、日本の過激な右翼論者たちが盛んに中国を「敵国扱い」し、日本はいずれ属国化されるなどと煽り続けているが、ほとんど冷静な議論とも思えない。中国は大中国を治めるためには現状ではいまの路線しかないとして進んでいることは明白だからだ。中国が今後、世界でアメリカに代わるリーダー国となるには、その政治哲学を変容させる必要がある。「力による政治」ではなく、「和の政治」へだ。だがその路線を進むとすれば、国家は大きな政治変動を伴うことも予想される。歴史的に明確にいえることは、中国は古来、インドから仏教を受け継ぎ、日本に橋渡しした文化の歴史をもつ国であることだ。日本に伝播した法華経はこんご、いずれは中国にも伝えられる。人の流れを止めることはできないからだ。その結果、国家における構成員たる人民の思想が変化し向上していけば、おのずと国家の形も変わらざるをえない。中国が一国だけで力をつけ、他国を「力で押さえつける」といった発想は、近未来においては真実味があるように見えたとしても、長期的展望にたてば、およそ「妄想」の類でしかない。

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