◆門田隆将3 人格特性

毎年8月になると決まって似たような報道に接する。8月15日だけでなく、12日もそうだ。この日は1985年に日航機墜落事故が起きた日で、ことしは34年の節目となった。このニュースを見て、門脇が週刊新潮記者時代に、週刊誌記者として一番乗りで現場に駆け付けたという逸話を思い出した。当時、同人は入社3年目。仕事も覚え、どこが「現場」となっているかまだわからない状況からフットワーク軽く現地に向かい、取材記者としての成果をあげたということだろう。その後、編集部内でデスク、副部長と昇進した同人は、酒の席なると必ず自分の自慢話を始め、この逸話が繰り返されたとされる。同人の口癖は「あれもオレのスクープ、これもオレのスクープ…」といった具合で、自分の過去の実績を誇示し、同席した者をへきえきさせることが多かったという。本人に悪気はないのかもしれないが、ある種の行動力に裏付けられた旺盛な自己顕示欲が、同人の人格特性の一部をなしていることは疑いようがない。そのため編集長の意向も手伝ってか、スクープをものした反面、多くの「誤報」も生み出した。ともあれ、当時の話はいったん置いておく。同人の2008年退社後、朝日新聞が慰安婦問題で誤報を認め、謝罪した事件がおきたとき、日本の言論人で、朝日新聞の廃刊まで声高に唱えた言論人が2人いた。櫻井よしこと門田隆将である。この2人は櫻井が執筆する「週刊新潮」の連載記事を担当した時代からの腐れ縁だが、朝日新聞という新聞界の権威に真っ向から挑み、相手の敵失に乗じて必要以上の制裁論を振りかざすというスタイルは、同人の人格特性から来るものと感じられる。一言でいえば「居丈高(いたけだか)」な人格である。そうした特性は文体にも顕著に出ている。同人が最近出した『新聞という病』という新書では、「~させてもらう」といった表現がしばしば登場する。謙虚な人間は「~させていただく」と表現するはずのところを、彼の場合は読者よりも一段上から、明らかに見下すような言葉になってしまう。本人は気づいていないと思われるところがミソだ。隠そうと思ってもおのずとにじみ出てしまう彼なりの人格特性の証左といえよう。自己顕示欲が強く、居丈高――。そうした特性は、現在の「右派論壇」における行動においてもいやおうなく発揮されている。

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