ウソが生んだ歪み

民主主義は自業自得の制度である。片山善博元鳥取県知事がそう語っているのを読んでまさにその通りだと膝を打った。民主主義が機能するためには前提条件が不可欠となる。有権者個々に正しい判断能力が備わっている場合にのみ機能するということだ。その意味では開明的な独裁者が指揮する独裁制のほうが、緊急時にはよほど機能するともいえよう。現在の安倍政権の欠陥は、財務省に弱みを握られていることと指摘する声がある。森友問題で政権を守るために同省は「偽証」という大きな代償を強いられた。そのため首相は財務省にきついことを言えない。この非常時に国民・住民の生命を守るために「財政破たんなど気にしないで人間の命を守れ」とハッキリ指示できない理由がそこにあるというのだ。その理屈でいえば、森友問題の解明をきっちりさせなかった有権者の責任が、まわりまわってブーメランのように返ってきていることになる。自業自得論だ。森友問題の偽証の過程においては、財務省の職員の生命が奪われている。だが安倍首相はその責任を負う気構えをなんら見せていない。責任を負う場合は、当然ながら引責辞任の事態に結びつくと思われるが、現状は逃げているだけだ。

 話は変わるが、野党の日本共産党は、過去に無実の人間の生命を奪いながら、これまで真摯に反省したことが一度もない。残念ながら、安倍首相も同じレベルだ。ただしいまは緊急事態で、首相が交代することは国民の利益に結びつかない。いずれ事態が鎮静化したら、首相は森友問題をはじめとする責任に向き合う義務がある。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。