公明比例票、3年前と単純比較はできない

公明党の今回の参院選挙における比例票が全国で653万票と、3年前の757万票と比べ100万票以上減らした現象をとらえて、公明党・創価学会の地盤沈下を口にする論者がいる。同党の支持者が高齢化しているのは現実としてあることは事実だが、3年前と今回とでは選挙戦略に大きな違いがあったことはあまり考慮されていないようだ。選挙区で7人の候補者を擁立し、全員当選させたことは3年前と変わらないが、今回の選挙区における比例票は個人名でなく、党名で運動を展開した。一般に個人名にしたほうが得票は伸びる。今回は衆参ダブル選挙が一時期まことしやかに伝えられたため、公明党内において、比例票の負担を減らすという戦略が取られたことは大きい。過去には参院比例で1000万票をめざし、選挙区は最小限の数で臨んだ選挙もあった。当然そうした選挙では、比例票はマックスに近い数字になる。一方今回は、そうした目先の数よりも、実利をとったというほうが正確だ。実利とはそのまま議席数のことを意味する。今回、選挙区と比例区とを合わせて14議席を獲得したのは、3年前と同じく、1回の参院選挙で得た議席数としてはマックスだ。本日付の産経新聞には、公明党だけでなく、共産党も比例票を減らし、どちらも組織の高齢化が一因のように書いた記事が掲載されているが、それはそれで間違いではない。それでも、野党には野党ならではの「気楽さ」があり、与党には与党ならではの苦労がある。公明党はその両方を経験してきただけに、国政において97年間、野党のみしか知らない共産党とは、根本的に政党の体質が異なる。

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