現代日本の病弊は左派の劣化だけではない。近年日本社会の大きな特徴となっているのは、劣化した右派の増長ぶりである。例えばこれまで何度か紹介してきた「ジャーナリスト」を名乗る人間が、気にくわない主張に対して「反日」「日本を貶めている」などのレッテルを貼り、「内なる敵」と称して攻撃する。さらにそうした本を右派系列の出版社から出す。同人は靖国神社を崇拝する明確な右派系の人間であるが、意見の異なる左派に対して「反日」とはどういう了見だろうか。すでに時代そのものがこのくらい「倒錯」した世の中になっているという証明である。つまり、ファクトをもとに言論が行われているわけではない状況を示している。この「ジャーナリスト」を名乗る人物が以前、靖国神社内の施設で講演したことがあった。そこで従軍慰安婦問題を持ち出し、「強制連行された女性はいない」などとしたり顔で語っていた。ファクト軽視もいいところだ。中国大陸には強制的に連行され、拉致・監禁されたうえで日本軍兵士の性暴行に耐え続けた女性の存在はすでに当事者を含めて多数報告されている。この程度の最低限度のファクトすらわきまえず、「ファクトがない」などとして朝日新聞や毎日新聞を敵対視して、攻撃し悦に入ってる姿を見ると、右派は相当に程度が低いものと言わざるをえない。