福島第一原発事故を「商売」にする人びと

10年前の福島原発事故については大きくわけて2つの立場がある。あれだけの大事故をよくこのレベルで止めたという立場。この立場は「日本人は素晴らしい」という安易な結論につながる。一方、技術立国であるはずの日本でも大規模な原発事故を止めることができなかったという内省的な立場だ。これは科学をもとに原因と教訓を模索する立場ともいえよう。

 前者には、フクシマ50が日本を救ったという英雄譚として描かれ、すでに映画にもなっている。日本人にとっては心地よい立論であるので、俗衆には受けやすい。作家などが「金儲け」するために使う常套手段ともいえる。

 後者はあくまで事故を「教訓化」「普遍化」し、二度と同じ事態を起こさないことを目的とする。だが真相はいまだ完全には明らかになっているわけでもない。日本人は素晴らしいなどといったゴマカシの言葉ではとうてい納得させられることのない立場ともいえる。

 私はまともな日本人(人間)であれば、後者に立つべきと考える。前者の立場はナショナリズムを煽る人間たちによって金儲けの対象として利用されているにすぎないと考えるからだ。

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