大日本帝国の亡霊たち

日本人はすばらしい、日本人は悪くない。こんな子どもじみた言説が日本社会に蔓延している。発信源は、戦前の大日本帝国を精神の拠り所にする者たちである。このコラムではそうした風潮の原因として、『月刊WiLL』なる歴史修正主義の雑誌の出現を指摘したことがあるが、それだけでなく、政界、新聞を含めた総合的な運動体となっている。

産経新聞が2014年から始めた「歴史戦」なるものはその具体的な表現であり、旧日本軍が犯した誤りを、なかったものに歴史を書き換える言動が顕著だ。南京虐殺、慰安婦問題、731部隊、沖縄集団自決、関東大震災における朝鮮人虐殺。人間は時に過ちをおかす生き物であり、日本人の歴史においても同様だ。そのため、知恵をもつ人間は、その過ちがどういう理由から起き、どうすれば同じ間違いを繰り返さなくて済むかを教訓化し、世代を超えて継承する。結局、これら「大日本帝国」の信奉者たちが行っている都合のよい歴史修正行為は、未来世代へ不利益を与える結果しか生まない。「亡国の輩」とは、言葉の正確な意味で、こうした者たちを指す。

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