今野敏作 『宗棍』

琉球新報で1月から新たな空手連載が始まっていることを知ったのは最近のことである。警察物をテーマに作家活動をする今野敏氏は自身も空手家として知られており、すでに新聞連載は本部朝基、喜屋武朝徳、松茂良興作につづいて4作目となる。主人公は松村宗昆(1809-99)で、最近図書館でまとめ読みしたところ、個人的にたいへん気に入った。前の3作と異なるのは、松村が首里城に勤務する首里士族であり、王朝内の様子が小説とはいえ描かれる場面がなかなか読ませるのだ。首里手の事実上の創始者と謳われる松村は、実は生年も没年も諸説あって定まらない。現在の遺族の墓には上記の年号で記載されているので、最近はこれを使う人が多いようだ。沖縄の科挙の試験に合格し、結婚、武人としてのさまざまな試合経験などを積み、薩摩藩に派遣されるまで場面は進んでいる。こんごも個人的に続きが楽しみな小説だ。

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