断交を主張するジャーナリスト

1~2年ほど前、韓国は話が通じない国だから「断交せよ」と声高にわめいているジャーナリストがいた。いまそのジャーナリストは、中国を敵視し、中国を封じ込めよ、そうでないと「日本が滅ぼされる」などと根拠の薄い主張を繰り広げている。一方で、在日韓国人として知られる政治学者の姜尚中・東大名誉教授は、いまこそ「韓国と連携を」と主張する。なぜなら韓国の対中国との関係と対米国関係は、日本のそれとよく似ているからだ。両者の主張は正反対だ。これを通常の人間関係に置き変えてみよう。韓国という人間は、話をしても通じない相手だから、「絶交してしまえ!」というのが先のジャーナリストの主張だ。ここにはとことん相手と向き合い、忍耐強く説得しようなどという肚(はら)はさらさらない。一方の姜名誉教授の主張は、自身の出自もさることながら、大所高所から隣国との協調関係を重視し、むしろ多国間で中国を善導しようとする立場に見える。後者からすると、前者はアメリカのみを過信し、そこにすべてを委ねる危うい発想に映っているはずだ。要するに米国がすべてを託すに値するほどの安定性ある存在かどうかということになろうが、信頼できないというのが後者の知恵だ。外交は好きか嫌いかといった感情レベルで動くべき話では当然ない。前者のジャーナリストには、本当の国益というものが視野に入っていない。極めて浅薄な思考回路だ。

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