全体像がつかめないままのコロナ対策

東京都の新型コロナウイルスの感染者が公式には3000人を超えた。だが実際はその100倍いるともいわれているので、その推定からすると実際は30万人にのぼる。それでも東京都全体の人口に占める割合はわずか2%程度にすぎない。これだけ芸能人やニュースキャスター、著名スポーツ選手が次々に感染している実態からすれば、実際は2%どころではなく、10%に近い数ではないかと考えるのが自然ではないか。

 現在、国が抗体検査を組織的に行っていないため実態がいまだ把握されていない問題だが、実は知らないうちに感染し、すでに抗体をもっている人の数は驚くような値にのぼる可能性がある。すでに米国や豪州ではそうした検査が進み始めたようだ。そうした全体像をきちんと把握しない限り、こんごの有効なコロナ対策、さらに的確な経済的支援に結ぶつかなくなることはいうまでもない。その意味で、日本が多くの点で「後手」にまわっていることは、あまたの識者が指摘するとおりと感じる。安倍官邸の独裁的決定が顕著で、「全員野球」になっていない結果と思われてならない。要するに、適切なリーダーシップの欠如が招いている結果なのだ。

 本日付の毎日新聞は1面トップで、ニューヨークで働く日本人医師のビビッドな体験を掲載している。結論として、いまもコロナウイルスは「分からないことが多い」らしい。医者として治したという手応えを感じられない珍しい病という状態で、患者の容態が悪くなる理由も、逆によくなる理由もいまだはっきりと感じられないという。偶然があまりにも作用しすぎる段階のようだ。その上で新型コロナ対策は「短距離走」ではなく、「マラソン」という言葉で締めくくられる。日本の政治指導者は、この問題は2022年までかかる可能性を前提に、国内にさまざま発信すべきと訴えている。

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