日本共産党の反知性主義③

昨日付のしんぶん赤旗に掲載されたテレビ番組における志位委員長の発言で、「間違った道を歩んでいるのが中国であって、私たちの社会主義・共産主義こそ、本当の人間の自由をめざすものです」という最後のフレーズが目についた。彼らは60年前に宮本顕治が中心になって策定した党綱領では、世界の多くの社会主義国の存在を資本主義国に比して誇り、すべての社会主義国を宣揚していた。つまり彼らはすべての社会主義国の実験が「成功するもの」とその時点では信じていた。だが実際にはそうならなかった。つまり「夢物語」にすぎなかったが、それらの認識の甘さを棚にあげ、現在に至っている。

現在の日本共産党の最高幹部の皆さんに聞きたいが、この1~2世紀の間に、社会主義国で幸福になった国はどこなのか、実際にあったのか、答えてもらいたい。こうした数々の実験がすべて失敗に終わった理由をどのように考えて、結論づけているのか。さらに日本にこの実験を適用した場合に、成功を担保する理由は何なのか。それらをすべて明確に答えられない限り、彼らもまたソ連の二の舞であり、何も変わらない結果にしか陥らないであろうことは自明の理であろう。

結論として、社会制度をいくらいじってみたところで、人間というそのものの変革に焦点が当たらない限り、この制度がうまく機能することはありえない。日本共産党もそこを見据えることができていないという点で、彼らの改革展望が成功することなどありえない。現在の同党は、単に自分たちの存続のために生き長らえている姿にしか映らない。要するに《究極の自己保身》であり、彼らの信奉する哲学・理念はすでに完全に破綻・瓦解してしまっている。そのことを内心ではわかっていながらも、数千人規模の党職員を路頭に迷わせないため、また自らの人生の多くを使ってきた歩みが間違っていたことを認めたくないなどの心理から、過去の言動を次々に変節させ、いまは日本共産党だけが正しいなどという《ドグマの殻》に閉じ籠もっているようにしか映らない。

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