首相になるための予行演習

日本国首相は激務だ。さらに多くの物事に目配りできる「経験」を要する。それがなければ物事の大半を丸投げすることにつながるからだ。一般には幾つか大臣を経験し、自民党の3役クラスを経験したらなれるものと思っている人が多い。だが石破首相の例をみても、首相になるための「予行演習」が十分だったとはとても思えない。あの安倍晋三元首相さえ、首相になる前には官房副長官、官房長官、自民党幹事長を経験した。その上で第1次安倍政権を率いたが、経験不足は明らかだった。その意味では、第1次の失敗を、第2次安倍政権で最大に活用したことは明らかだった。一つは選挙で絶対に負けてはならないという第1次政権での最大教訓を第2次政権で生かし続けたことだ。今回の石破首相の政権運営を見ている限り、その点の執着はおよそ及ぶものではない。さて、20年以上与党政権の中にいる公明党から首相をという夢想めいた声が支持者の中から時折出ることがあるが、およそ「予行演習」が不足していることは明らかだ。そもそも大臣経験者が限られる上、首相を出す以上は官房長官もセットで出さなければ政権の安定は望めない。その官房長官をできそうな人材は現在の党内には私見ながらおよそ見当たらないからだ。これから政界のガラガラポンが起こるとすれば、現在の公明党議員たちはその中で自らの政治家としての力を貪欲なまでに磨き、自身を野太く成長させていくしかない。

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