通常国会の残り会期がおよそ1カ月となった。後半国会の最大の懸念だった選択的夫婦別姓の導入問題は立憲民主党が法案提出しながらいまだ審議入りすらしていない。この問題は第一に人権の問題であり、当事者の仕事上の利便性の問題と説明されることが多いが、昨日あるトークを聞いていて、やはりこれは「国益」の問題であると再認識させられた。中でも夫婦別姓を選択できるようにすると結婚したいという希望者が50万人以上控えているという調査結果は重要だ。2008年以来人口減少が止まらないわが国で、有効な少子化対策が見出し得ていない現状にあって、政府・与党はすべての政策的努力を払うべきだ。日本はフランスと違って婚外子が少ない。結婚数が増えなければ子どもが増えない関係にある。その意味では内政における安全保障(=少子化対策)に連結した問題ともいえる。自民党幹事長は衆院法務委員会での採決を認め、なおかつ自民党議員の党議拘束を外すべきだ。石破首相のリーダーシップも不可欠となる。この問題は、家族関係や、戸籍や、お墓の問題などでは決してない。この国の安全保障の問題にほかならない。反対する人間は認識不足か、国賊のどちらかということになる。