現在、ネット上などでも話題になる埼玉県川口市のクルド人の件は、日本社会のあり方を考える上で避けて通れない現象と思える。川口市でわずか2000人程度のクルド人が日本社会の脅威になっている旨煽り立てるジャーナリストなどがいて、一部メディアが便乗し、過剰に騒ぎ立てているからだ。同族意識が強く、異質のものを排除しやすい日本的な民族傾向が露骨に表れている現象と思える。日本は現状でも諸外国と比べれば外国籍住民の比率はかなり低い2%程度だ。すでに経済大国とは言えなくなっているこの国で、今後も人手不足は慢性化し、いま以上の移民受入れは必須となる。そうした変化を要求される社会で、2012年から始まった安倍政治はヘイトスピーチを助長し、排外主義を煽る働きをしてきた。それが現在の上記現象にもつながっていることは明らかだが、日本社会の根本的なありようを変化させていく必要がある。一つは「内外人平等」の精神を血肉化するための教育的機能の充実だ。日本の公立学校の公式プログラムにそのような機能を付加する必要がある。さらに日本側だけでなく、外国籍住民側の問題として未就学児童をきちんと学校に行かせる強制機能も必要だ。この問題は日本社会の将来の大きな災厄になりかねない問題ながら、政治家にとって選挙権をもたない外国籍住民の問題は優先して取り組むインセンティブが働きにくい(その意味でも一定の外国籍住民に地方選挙権を付与することが重要だ)。日本側の内外人平等に向けた教育的機能の拡充、さらに外国籍子弟への教育機会の保障。双方があいまった社会プログラムの構築が求められる。これらは腰を据えて行うべき政策の一つであり、専門の省庁設置が必要と感じる。