一般的にはサイコパスは特定の人物にレッテル貼りする際の手段として使われることが多いようだ。だが本来は犯罪心理学などの類型の中で厳密に診断する基準が存在する。私が知る範囲ではサイコパス(良心の呵責をもたない異常人格者)であるかどうかは20項目のリストによって判定され、それぞれ0~2点を付し、40点満点で計算される。それらの項目には結婚の回数や犯罪行為の回数を尋ねるものなど、客観的にだれが判断しても同じ答えになるものがある一方、診断者の主観によって幅が広がりそうな項目もある。
サイコパスは人の心を読む能力にたけており、その利点を使って相手に取り入り、相手を操作する。さらに表面的には口達者で魅力な人物であることが多いので、上記の特性を使って相手の心を動かしていく。繰り返しになるが、サイコパスの本質的な特徴は、良心の呵責をもたないことだ。平たくいえば「独りよがり」といえる。さらに重要な点の一つなのだが、性関係においてふしだらな面が現れることも多い。結婚回数を聞く項目があるのはそのためで、トランプ次期大統領が3回の結婚歴がある事実や、多種類の犯罪行為に手を染めてきた事実も、このリストで判断すればサイコパスの要素に一層近づく。
私はこれまでドナルド・トランプ元大統領を「完全なサイコパス」「正真正銘のサイコパス」と指摘してきたが、これは感情に基づいてレッテル貼りをして貶めたいという理由からではなく、欧米の犯罪心理学の最高峰の専門家たちが定義してきたサイコパス像を一定程度知る者として、トランプはそれらに100%当てはまる人物という確信をもっているからだ。
今回、カマラ・ハリスは中東のジェノサイドにおいて明確な政策を訴えなかったためアラブ系住民や若者世代の支持を大きく失ったほか、トランプが〝経済通〟というイメージが強いのに対し、自ら経済オンチであることをしばしば露呈したことが、物価高やインフレに苦しむ有権者にとってブレーキになったという解説はほぼ間違いないだろう。女性だから「壁が厚かった」という指摘は、的を得ていないように感じる。
ともあれ、サイコパス的人物がアメリカ政治を再び“乗っ取った”のは、民主党の「敵失」が大きかったとはいえ、現実の話だ。どこまでも独りよがりな面をもつサイコパスの特性については、世界秩序と世界平和のため、こんごも繰り返し指摘していく必要がある。