「鄧氏は政治改革を認めると、一党独裁の体制転覆につながりかねないと恐れた」
本日付東京新聞社説は来月の6月4日が中国の天安門事件から35年となることをテーマにした。中国はこの事件をタブーにする。その理由について説明するくだりに冒頭の記述があるが、“丸腰”の学生ら相手に血の雨を降らせ、盛り上がった民主化運動を鎮圧してみせた1989年の出来事は、同時代に生きた人びとにとって記憶に残る出来事だろう。中国共産党は1921年に結党、日本共産党は1922年に結党した“兄弟党”である。中国の共産党は政権を担い、国家運営をしてきた。日本共産党との違いは強力な「暴力装置」をもっていることだ。そのため冒頭のような「一党独裁の体制転覆につながりかねない」懸念をもてば、当然ながらその「暴力装置」を発動する。一方の日本共産党は102年近くたっても日本の国政で一度も権力を握ったことがないので「暴力装置」をもたない。せいぜい、党員を「除名」したり、「査問」したりして、イジメるのが関の山だ。だがこの日本共産党も、政権与党になり、「暴力装置」をもつ事態が生じれば、中国と似たような事件が起きる可能性が高まることは明らかだ。そのことを懸念する目先の明るい人たちは、やはり同党が立憲民主党などと一緒にスルリと政権内に入りかねない事態を危惧する。そのことを理解していない知識人も一定程度目につくが、とりあえず私は、元官僚の古賀茂明氏、前川喜平氏の名前を挙げておきたい。