共産党の戦前女性活動家の「美化」

2024年1月日本共産党は23年ぶりに党委員長が交代し、初の女性委員長を誕生させた。だがその女性党首の就任前の党大会における発言で一人の代議員を公衆の面前で徹底的に吊るし上げたことで、広くパワハラ政党のイメージが浸透する結果につながった。そんな中、本日付のしんぶん赤旗では志位和夫議長の「戦前の日本共産党員、伊藤千代子さんについて」と題する発言が大きく掲載されている。戦前・戦中、日本でまだ女性に選挙権すらなかった時代、草創期の日本共産党には理想に燃えた女性活動家がいた。だが党内では警察による監視と追及を避けるため、男性幹部の「ハウスキーパー」(革命に殉じる偽装夫婦の相手)として献上された女性がいた。「献上」というと怒られるかもしれないが、当の女性たちは理想社会の実現に向け、自己を犠牲にしてでも戦う気持ちであったと推察できる。そうした女性の中から、戦後、多くの回想談や証言が記録に残されている。現在、当時の女性活動家のごく一部の限られた人たちを「美化」して紹介する日本共産党の態度は、明らかに歴史の冒涜にほかならない。同党によって美化された数人の女性のほかには、多くの気の毒な女性がいたことは明らかだからだ。さらに紹介される当の女性たちも、けっして描かれたとおりの人生だったとは限らない。歴史には裏と表、明と暗が存在する。同党が戦前・戦中の女性党員の活動ぶりを最近になってことさら「美化」しようとするのは、「ジェンダー平等」を綱領に盛り込んだ2020年以降の動きと連動した傾向であり、その流れが今回の女性党首誕生にもつながっている。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。