自衛隊と共産党

この2つは犬猿の間柄と見られるが、よく似た共通点がある。かつて日本社会において「日陰者」扱いされてきたという一点だ。その結果、必然的に社会から信頼を得ようと懸命に努力してきた点も共通する。日本共産党は1951年から52年にかけてソ連・中国を模倣した暴力活動を全国的に展開し、当時の国民から総スカンを受けた。そこから同党が這い上がるまで多大な努力を要したことははっきりしている。イメージを変えるために必然的に多くの女性候補者を擁立した。同党がこれまで存続できてきたのはそうしたイメージ変革戦略のたまものだ。一方の自衛隊も憲法で保障されていない組織でもあり、長らく「日陰者」の扱いを受けてきた。92年に初めて自衛隊が国外にPKO活動として出動した際は、国論を2分する大騒ぎとなった。ただしその後は災害救助活動の積み重ねが功を奏し、「日陰者」扱いはほぼ払しょくされ、いまでは逆に自衛隊幹部出身者が大手を振って活動し、自由に政治批判、政党代表批判を繰り返す“以前とは考えられない”時代を迎えている。まるで旧軍の横柄な軍人が復活した感すらある。公明党の山口代表が憲法9条改正に慎重な姿勢であることは「けしからん」と元軍人がネット番組で堂々と公言する時代だ。こういう立場を弁えない軍人が増えてきた傾向は、この国の将来にとってプラスとは思えない。はっきりいえることは、この2つの元「日陰者」扱いだった存在が、この国で膨張する事態は、けっして社会として好ましいといえないことだ。任務を淡々とこなす自衛隊は国民に歓迎されるものの、一方で政治に口を出し、横柄な態度で自己保身の発言を声高に行う姿は、再びこの国をダメにする未来を予見してやまない。

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