靖國イデオロギーや日本民族優越思想をオブラートに包んで啓蒙普及する作家・門田隆将が集英社攻撃を行っていると知って驚いた。なぜなら同人が2008年に新潮社にいられなくなって独立した後、初期のころに彼の執筆活動を支えた主要な出版社が集英社だったからだ。2010年から11年にかけて、作家は3冊の本を集英社の大々的な宣伝のもと上梓している。
①『この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』
②『風にそよぐ墓標 父と息子の日航機墜落事故』
③『蒼海に消ゆ 祖国アメリカへ特攻した海軍少尉「松藤大治」の生涯』
このうち①の根本本は、山本七平賞を受賞。同人の作家生活を順調にスタートさせる起点となった作品だったが、小生が2011年に出版した『疑惑の作家』でも指摘しているとおり、多くの盗用行為が見られる作品だ。さらに②については、作家が日航機墜落事故の遺族の作品から多くの記述をパクリ、最高裁で現実に断罪された作品だ。この裁判で門田は集英社に多大な迷惑をかけている。このように通常の人間であれば、足を向けて寝られないはずの過去の恩ある出版社に対し、現在、彼はどのような言辞を吐いているか。以下に列記する。
「『アジア人物伝』最終巻が李登輝元台湾総統やダライ・ラマを“中国の人物”として記載し台湾で反発が拡大。だがそもそも“親中”出版社である事に加え、同シリーズの監修者が姜尚中氏と聞いて納得。日本批判と朝鮮人被害者論の氏が親日の台湾人をまともに論評できる筈がない」(11月6日付のX)
「台湾『自由時報』が全日本台湾連合会の趙中正会長から集英社への痛烈な抗議文掲載。「李登輝氏は国民党による独裁政治を打破した“台湾民主化の父”で“ミスターデモクラシー”。中国に分類するのは明らかな誤り。日本政府も“台湾は中国のもの”との中国の主張を認めていない。厳重に抗議し訂正を求める」と。未だ李氏を侮辱する中国とその尻馬に乗る出版社」(同)
「李登輝氏をなぜ“中国人”に分類したのか。集英社は“中国は1つ。日米もその事を認めている。どこが悪いのか”と言いたいのだろう。だが明白な誤り。日米は「あなた(中国)が1つの中国を主張している事は認める」立場であり、支持している訳ではない。今ではチンギス・ハンも“中国の英雄”。中国の覇権主義に乗る集英社」(11月7日付X)
内容は“ネトウヨ脳”さながらの主張に見えるが、こんな日本人にはなりたくないという事例である。