古谷経衡氏の新書『シニア右翼』によると、日本のネット右翼(いわゆるネトウヨ)の総数は200万人規模とされる。この固まりを生み出した背景には明らかに安倍政権の9年近い存続があり、極右論壇誌の存在がある。両者らが一体となって形成した200万規模の一群は、南京大虐殺はなかった、従軍慰安婦は売春婦にすぎなかったとの安倍晋三氏と同じ「歴史修正主義」の考え方を踏襲し、思想的には日本会議や統一教会とそのまま重なるものだ。現在、その残存勢力がSNS(おもに旧ツイッター界隈)で活動しており、その象徴的存在が、百田尚樹や有本香といった個人で50~60万規模のフォロワーをもつ「自称ジャーナリスト」たちだ。彼らは安倍元首相に対してきた好意的な姿勢とは打って変わり、現在の岸田首相に対しては明確に「敵対視」し、自ら独自の政党(「日本保守党」と称する)まで立ち上げようとする。いうなればこれは安倍元首相らが育てたモンスターたちの逆襲というべきものだろう。私の見る限り、彼らの本質は差別主義者であるという事実だ。LGBT理解増進法に、自分たちの捻じ曲がった論理で反対し、移民の受入れについても外国人差別の立場から反対・拒否する。要するにノーマルな日本民族でないと信頼がおけないという硬直化した発想は、さすがに靖國派、かつての大日本帝国主義者の「末裔」を思わせる。こうした一国の偏狭な部分観でしかない低位な価値観が、普遍的なものとして広がることはありえない。彼らの将来は目に見えている。
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