日本には差別禁止をうたう法律がない

人口構成による労働力不足から移民や外国人労働者を受け入れないと国力低下する未来が明らかな日本において、日本の国内状況は悲惨なものがある。ヘイトスピーチが横行し、多くの差別も野放しに近い。いずれも日本には「差別をしてはいけない」という禁止法がほとんど存在せず、まして理念法すら存在しない最低レベルの状況が背景としてある。

通常国会でなんとか成立したLGBT理解増進法は、罰則つきで差別を禁止するものではなく、理念的な啓発を目的とするものだった。そこにおいてLGBTに特化した法律を設けた国はG7にない、などと都合のいい歪曲された主張が反対派側からなされたが、正確性に欠ける。ほかの国は差別禁止規定を法律や法規範として有しているので、いまさらLGBTに特化した法律をあえてつくる必要がなかったというのが実態だ。日本の場合は、差別禁止を明確に法律で規定しているのは「障害者」を対象とする法律くらいで、他の分野は具体的な規定がない。ヘイトスピーチ解消法は法律としては存在するが、罰則規定が入っていないことはよく知られるところだ。

日本に必要なことは、すべての分野(人種・信条・性別・門地など)に包括的に網をかけた差別禁止をうたった理念法の制定であり、さらには悪質な事例については罰則をつける差別禁止法の立法化だ。これがG7各国のスタンダート規範であり、その意味で日本は人権法制上、「未開の野蛮国」の状態にある。こんな差別横行の国に、海外から出稼ぎや移民として来たいと思う人たちがいるだろうか。日本の未来社会の存続・繁栄と密接にかかわる問題である。

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