台湾の軍事侵攻などを見据えて日本は巨額の防衛予算を組むなど対応に大わらわだが、私の見る範囲でも多くの識者はその事実を否定している。列記すると以下のようになる。台湾有事論を煽っている中心は、私の見るところでは自衛隊関係者(なかんづくОBの集団)とそれに連なるメディア人などだ。なお、当方の確認している範囲内の抽出なので、実際は同様の発言をしている識者はもっと多いと思われ、引用箇所もより的確なコメントが他所(他の媒体など)でなされている可能性がある(識者は五十音順)。
●内田樹(神戸女学院大学名誉教授)
「中国の台湾侵攻は起きない」(2023年1月8日付東京新聞コラム)
●小川和久(軍事アナリスト)
「日本で取り沙汰されている『台湾有事論』には〝科学的な視点〟が欠け、軍事的合理性もない」
「中国軍は、成立しない上陸作戦は立案しません。これが内外で騒がれている台湾有事論のリアルな現実です。上陸侵攻の姿勢を見せるのは脅しなのです」
(『戦争のリアル』SB新書、2022年10月)
●佐藤優(元外務省主任分析官)
「私もないと思う」
「台湾有事を煽るのは、日本のメディアも同じです。台湾海峡に関する日本の報道は、詐欺もいいところです。大騒ぎする必要はありません」
(『「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり』ビジネス社、2022年2月)
●重村智計(早稲田大学名誉教授、元毎日新聞論説委員)
「中国はそう簡単には台湾に軍事侵攻には及ばない」
「少なくとも、向こう10年は軍事行動に及ぶことはできないだろう」
(『半島動乱』ビジネス社、2022年12月)
●副島隆彦(評論家)
「私はないと思います。そんなことはできない。中国は台湾に軍事侵攻しません」
(『「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり』ビジネス社、2022年2月)
●米ユーラシア・グループの「世界10大リスク」 ※1月11日に追加掲載
「中国は力のバランスが決定的に自国に有利になるか、台湾を擁護しない米大統領が就任するまで台湾への軍事介入を延期するだろうと予測。いずれも23年度中には起こり得ないとした」(2023年1月5日付沖縄タイムス)
●宮本雄二(元中国大使) ※2月18日に追加掲載
「現状維持が続く限りはゼロに近いと思う」(2023年2月14日付沖縄タイムス)
●稲嶺恵一(福建省長時代の習近平に面談した元沖縄県知事) ※2月18日に追加掲載
「はっきり言って今、(台湾)「有事」の危険性はないと考える」(2023年2月14日付琉球新報)