山口敬之VS「週刊新潮」裁判(続報)

山口敬之氏が新潮社を名誉毀損で民事提訴した2020年4月はどういう時期だったか。伊藤詩織さんが山口氏を訴えた損害賠償請求事件ですでに2019年12月に1審判決が出されており、山口氏は完全敗訴していた。同氏が意識のない女性に避妊具を付けないまま行為に及び、女性が意識を回復し拒絶した後も行為を継続しようとした事実が1審判決で認定されていた(その後、高裁でも認定され、最高裁で確定する)。

この1審判決が出るまでに、「週刊新潮」はすでに20回におよぶ続報を打っており、その後も継続報道することは明らかだった。山口氏はこの時点で新潮社を名誉毀損提訴することで、報道を止めるか報道のトーンを和らげる意図があったことは容易に推察できる。

現在、この裁判は20を超える記事が対象となっており、争点整理だけでも多くの時間を費やす結果となっている。それでも対象となる摘示事実は4点ほどにしぼられつつあり、(1)山口氏が準強姦に及んだ事実(2)山口氏が準強姦の被疑者として逮捕状の発布を受けて逮捕寸前であった事実(3)山口氏がペギー社の代表から顧問料を受け取っていた事実(4)山口氏が週刊文春に書いたベトナム戦争に関する記事をねつ造した事実――などに集約されつつあるようだ。提訴から2年半以上が経過した段階で、いまだ人証申請の段階にすら至っていないのは、争点整理に時間がかかっていることを意味する。

それでも(1)に関する事実ではすでに別件裁判で確定済みであり、残り3つが新たな争点ということになろうか。いずれにせよ、この裁判で再び(1)の事実が認定されれば、山口氏は準強姦においてダブルパンチを受ける結果となる。さらに(2)の争点で真実相当性でも認定されれば、同氏は権力を用いて自分の犯罪をもみ消した可能性が印象として高まる。

この裁判の経過と最終結果は、多くの意味で注目される。

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