反知性主義の波紋

一昨日の新聞に、カナダのオンタリオ州で「南京大虐殺記念日」を制定する動きがあるとして、日本の自民党の複数の有志議員が懸念を伝える意見書を送付したことが報じられていた。今から80年前の12月13日、日本軍が南京を占領したことにちなんで記念日と定める法案が、中国系の議員から州議会に提案されたといい、「9月からの州議会で法案を審議される可能性があるという」などと伝えている。

80年前の日中戦争開始時点で、日本軍が当時の中国の首都南京を攻略して戦争を早期終結させようとし、補給路も確保しないまま無理な進軍を重ね、現地民からの略奪や中国人女性への強姦を頻発させる結果となり、南京占領において、「天皇の軍隊」が多くの非法行為を働いたことは歴史の事実である。数万人の中国人を不法に殺害し、「レイプ・オブ・南京」と呼ばれる事態を引き起こしたことも歴史の事実だ。

問題はそうした事実を認めようとしない勢力が日本に存在することであり、現在はそうした勢力の運動は、日本においてマックスの状態と推認される。だが「歴史の事実」はどこまでいっても「事実」であることにかわりはなく、自分の希望的心情だけで造り変えられるものではない。その結果、周辺諸国に上記のような反応を起こさせるのであり、最初から歴史的事実を素直に認めていれば、起こりようのないものであろう。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。