内心は「枝野代表」を望む不破前議長

日本共産党がここにきて野党共闘の重要性を盛んに自らアピールし始めた。本日付の「しんぶん赤旗」3面では野党共闘のプラスの実績を大特集しているほか、一般紙では本日付の日本経済新聞で、不破哲三こと上田建二郎前議長がインタビューに登場し、大きく扱われている。

それによると、民進党の代表はどちらが望ましいかと聞かれ、不破氏は「言わないほうがいい。来たるべき衆院選を考えるとほかに道はないように思う。共闘しかない」と思わせぶりの回答をした上で、枝野氏は共闘の維持は掲げているものの共産党の政権入りは否定したと聞かれると、「世の中すべて変化するものだ」と強気の回答を寄せている。

鼻持ちならないのは、同じインタビューの脇の記事で、不破氏が旧ソ連、中国、ベトナムなどの共産主義国について、「社会主義に到達した国は一つもない」などとコメントしていることだろう。不破氏によると、旧ソ連は革命後の土台づくりに取り組んだが、「途中でスターリンが抑圧型の国家に変節させた」と指摘。さらに中国やベトナムについては、「土台づくりの過程にある」などと述べている。私がここで言いたいのは、いまだ社会主義に到達した国は一つもないと不破氏が語る≪実験≫によって、世界中でどれだけの罪のない民衆が無残に殺されたのかという切実な問題だ。

日本共産党はかつて、長きにわたって「ソ連の子分」として存在し、さらに中国、北朝鮮を楽園のように語りながら、いまとなっては「社会主義に到達した国は一つもない」――。こうした欺瞞ぶりは、同党の本質を端的に示す証拠として、同記事は極めて重要な価値を持つことになると思われる。

本日付の朝日新聞では、枝野・前原両氏の先輩格にあたる仙谷由人元官房長官がインタビューに応じ、共産党とのスタンスについて、「野党共闘=野党連合政権ではないというケジメをちゃんとしないといけない」と語っている。要するに、選挙協力は行っても、実際の政権は一緒には運営しないということを、民進党は事前によりはっきりさせておけという先輩からのアドバイスだ。

次の総選挙はやはり、日本を共産主義国にするという理念をもった政党が日本政治史上初めて与党入りする危険性を認めるのか、あるいはそれを阻止するのかが、一つの重要な争点となりそうだ。

 

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