エゴイズムと普遍主義

ウクライナ危機をめぐり、論客のレベルが色分けされる時代となった。要するに自分のことしか考えていないか、世界全体のことを考えているかといったそもそもの「構え」の違いである。自分のことしか考えていない人間はここを力の入れ所とばかりに日本も核兵器を共有すべきなどとことさらに主張しだした。要するに自分のこと、せいぜい広げて自分の国のことくらいしか考えていない知性レベルの露呈といえよう。もしもこのようなエゴイズムが世界に蔓延したとすれば、地球上は核兵器だらけになる。おそろしい事態だ。一方で、世界全体のことを考える「理想的な知性」は、当然ながら核兵器そのものをなくす方向で思考を回してきた。これが国際社会の方向性であり、世界平和に至るための唯一の道でもある。本日付の「しんぶん赤旗」に元朝日新聞記者の伊藤千尋さんが次のように書いているのを読んだ。

「『国を守る』という発想を変えましょう。あらゆる分野で国際化が進んだ現代、国境線の内側だけが守るべき対象で、外側は敵という考え方は古いのです。戦争や武力を放棄する9条の思想は、他国民の命も守ろうとするものです。どの国とも一緒に平和になれば良いのです」

ここには自分だけでなく、世界全体の平和から発想することを可能とする「知性」がある。私は共産主義を肯定しない立場だが、伊藤さんの言葉は強く心に残った。

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