名前の残る政治家

日本経済新聞の夕刊に「私のリーダー論」というページがある。昨日付では名古屋外国語大学の亀山郁夫学長が登場していた。ロシア文学者として知られる同氏の発言で目にとまったのは、記者の「ロシアの歴史上の人物で、模範となるリーダーはいますか」という質問に対し、亀山氏が次のように答えているくだりだ。

「ゴルバチョフ元ソ連大統領です。彼には国民の良識を信じるオプチミズムがあった。ゴルバチョフはソ連を崩壊させましたが、本当はその役割は他の人に任せて、その後の国づくりのところで登場すべきだった。彼はヨーロッパの家という思想を持っていて、ヨーロッパの中にあるべきロシアを位置づけようとしていた。そうすれば歴史はいまと違っていたかもしれません」

1985年、彗星のように表舞台に現れたゴルバチョフ氏は91年のソ連崩壊後、いまではほとんど見向きもされなくなっている政治家といえるのかもしれない。だが、元政治家の評価は時代によっても変化する。時代の意識が高まれば高まるほど、評価される元政治家の存在も変わっていく。評価の対象となるのは当人の人間性であり、哲学の深さであり、未来にかけた情熱(=残した仕事)だろう。ゴルバチョフはその多くを満たした。

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