秩序崩壊後の言論文壇界

ジャーナリズムの世界では誤報を打てば大きな信用失墜を招く。まして意図的な虚報となればその人はジャーナリスト生命を失うのが通例だ。だがこれは秩序が機能している社会での話。そのような土壌がそもそも崩壊した世界では、通例の淘汰も行なわれにくくなる。そのため、間違いを犯した者が逆に大手を振ってさも問題ないかのように振る舞う事態すら生まれる。少し前でいえば、「アウシュビッツにガス室はなかった」という意図的な虚報で雑誌社を追われた人間が、いまや我が物顔で振る舞っている姿をみればそれは明らかだろう。ごく最近でいえば、昨年のアメリカ大統領選はその実態を鮮明に浮き彫りにした。自分で取材しない「ポーター」にすぎない自称ジャーナリストらが、トランプ発の虚言をうのみにし、トランプ陣営に過度に肩入れした結果、日本の世論をミスリードさせ、日本社会を混乱させた。その責任をまったく負っていない無責任男たちが、百田尚樹・有本香・門田隆将(門脇護)などの面々だ。特に後ろの2人は「ジャーナリスト」を称しているので、その罪は一層重い。ふつうに機能している社会なら、当然のこととして一発アウト。業界から退場させられるのがまともな姿だろうが、逆に、彼らはいまも我が物顔で振る舞っている。一人では孤立するおそれがあるので、自己防衛の本能か、似た者同士で「群れ」をつくるのも特徴だ。そもそも「土壌」から壊されてしまった社会は、その「土壌」を修復していくことから始める必要が生じる。結局はもぐら叩きをやっていても「土壌」の修復にはつながらない。「正常な状態」に戻すには同じだけの時間がかかりそうだ。

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