「知の巨人」が逝った年

年末ということもあってたまっていた新聞を処理した。1年のうち特に出張期間に読んでいなかった新聞の山が部屋の数カ所に埋もれていた。本日処理した新聞群の中に、立花隆氏が死去した6月のニュースの束があった。亡くなったのは4月30日だったというが、毎日新聞がその旨のスクープ記事を掲載したのが6月23日。同日夕刊で各紙とも一斉に後追い記事にした。私は学生時代、竹中労というルポライターの影響を受ける以前に、立花隆の作品に影響を受けていたことを思い出した。『宇宙からの帰還』という本だったが、宇宙飛行士からの聞き取り本に鮮明な感銘を受けたことを覚えている。訃報の解説記事の中には、「調査報道のジャンルを確立させた」(柳田邦男氏)、「ドラマチックな展開で物語の面白さを出そうとする指向が希薄で、事実にこだわる姿勢が極めて強かった」(武田徹氏、いずれも読売6月24日付)などの論評があった。押しなべて、真実あるいは本質に迫ろうという姿勢が顕著だった。その意味では先に都合のよい結論を決め、後からそれに見合った理由のみを補強する最近はやりの右派言論などとは対極ともいえる姿勢だった。やはり立花氏は一流だったと感じる。

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