政権参加につなぐ100周年の保身

1993年に始まった日本政治の連立時代の流れの中で、完全に取り残された存在であったのは日本共産党だった。「非自民・非共産」の流れの中でつくられた小沢一郎主導の93年以降の非自民政権は、長続きせず、途中崩壊した。現在、革命政党である日本共産党を取り込んで非自民政権の確立をめざすのは同じ小沢一郎関与の野党連合だ。革命政党がこの流れに入り込むきっかけとなったのは2015年、安保法制のうねりがもたらしたものといえる。いうなれば日本共産党の存在価値を高めた張本人は、安倍晋三前首相ということが言える。このまま何らの現実的な政権構想もないまま進んでいれば、同党は完全な「ジリ貧」状態だった。まして100周年という佳節に向け、党員向けにアピールできる要素もほとんどなかった。その意味で、安倍前首相の存在と同氏がもたらした安保法制は、日本共産党にとっては「サマサマ」といえるものだった。同党が口では安倍前首相を攻撃しながら、腹の中では「ありがとう」と叫んでいたことは明らかだ。日本共産党にとってもっとも望ましくないのは、似たような志向をもつ政権ができるときである。例えば、先の民主党政権の際は、同党は完全に埋没し、主張の威力を失っていた。その意味で、現在の自民党総裁選で同党が最も望んでいるのは高市早苗である。高市は「革命政党」がその存在価値を示す上でもっとも望ましい人物に違いない。

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