自民党が急速に失速した理由

「公明、8回連続全員当選」と書いたのは読売新聞、「公明 辛くも全勝」と書いたのは東京新聞。同じ事実でも、事実だけを客観的に書くのと、多少の主観をこめて書くのとでは書き方が変わる。どちらがいいというつもりはない。ともあれ、マスコミや評論家などの下馬評を覆し、公明党は全勝の歴史を更新した。東京新聞が書いたとおり、「辛くも」は事実であろう。ただし政治の世界は最下位で当選しようとトップ当選しようと、付けるバッジに違いはない。与えられた4年間の任期を、どれだけ都民のために働けるかがすべてだ。ところで、今回の都議選はすでに既視感のあるものにほかならなかった。野党が勢いづくときというのは、多くは与党の失政につけこむことで発生する。仮に政権与党がコロナ対応において国民の信頼を勝ち得ていれば、不満が東京五輪に向かうこともなかったし、争点に使われることもなかった。いい迷惑はアスリートたちだ。野党のなかでも日本共産党は、このような与党の失策につけこむことにかけてはプロ級の本能的な嗅覚をもつ生き物と例えてもよい。反面、政権浄化のバロメーターのような側面ももつ。その意味で政権与党には大きな問題点が指摘される。選挙戦のさなか、ワクチン接種を煽るだけ煽りながらいざとなると不足を理由に供給を制限したワクチン担当大臣や、都知事の病気療養を自業自得のように発言して顰蹙をかった財務大臣などが思い浮かぶ。とにかく政権与党には緊張感がない。民主党に政権交代したときの様相によく似てきたと感じるのは私だけだろうか。

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